EAA(必須アミノ酸)
eaa
必須アミノ酸「イソロイシン」とは?
2021年9月23日 - 更新日: 2022年12月8日
イソロイシンは、必須アミノ酸の一種で、バリン、ロイシンとともに、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を構成しています。疲労や筋肉の回復、糖尿病の予防・改善などの効果が期待できると報告されている必須アミノ酸です。
今回は、イソロイシンの成分や効果、多く含む食品などについて紹介します。
イソロイシンとは
イソロイシンは人の体を構成するタンパク質のうち、体内で作ることができないアミノ酸である必須アミノ酸のひとつです。体内で作ることができないため、食事から摂取しなければなりません。
また、イソロイシンは、同じく必須アミノ酸であるバリン、ロイシンとともに、BCAA(分岐鎖アミノ酸)を構成する物質でもあります。BCAAは、筋肉を作るときの主なタンパク質です。そのため、BCAAを構成するイソロイシンは、筋肉強化に欠かせません。
イソロイシンには筋肉強化以外にも、甲状腺ホルモンの分泌促進による成長促進作用や収縮期血圧の改善、疲労回復などさまざまな効果があると報告されています。
イソロイシンの効果
イソロイシンを摂取することで、どのような効果があるのでしょうか。
ここでは、イソロイシンの効果を確認しましょう。
イソロイシンは筋肉を回復させる可能性がある
イソロイシンを含むBCAAを摂取すると、運動後の筋肉損傷を回復させる可能性があります。
2015年11月までに行われた研究を対象とした論文では、運動前にBCAAを摂取した人は、プラセボ(偽薬)を摂取した人に比べて、筋力トレーニング後のクレアチンキナーゼの量が少なかったと報告されています。[1]
クレアチンキナーゼは、筋肉に存在する酵素です。筋力トレーニングで筋肉が損傷されると、血液中に流出して、高値になります。
クレアチンキナーゼの量が少なかったということは、筋肉の損傷が早く回復したと考えられます。しかし、クレアチンキナーゼと同様に筋肉の損傷の指標となる乳酸脱水素酵素については、大きな差は見られませんでした。
イソロイシンは収縮期血圧の低下に効果が期待できる
イソロイシンを含むIPPには、疲労を回復させる効果が期待できます。IPPとは、アミノ酸であるイソロイシンと2つのプロリンが組み合わさった成分でイソロイシンとプロリンの頭文字をとってIPPと呼ばれています。イソロイシンと結合しているプロリンは、コラーゲンの原料となったり、体のエネルギー源ともなるアミノ酸の一つです。日本人を対象にした研究を調査した論文によると、イソロイシンが含まれるIPPを摂取したグループとプラセボ(偽薬)を摂取したグループを比べると、収縮期血圧を5.63mmHg低下させる効果が報告されています。[2]
イソロイシンを含むIPPとは、ラクトトリペプチドといわれる乳タンパク質由来の成分です。IPPは日本人に馴染み深いカルピス株式会社が発見しました。ラクトトリペプチドには、血圧を上昇させる働きを持つアンジオテンシン変換酵素(ACE)を阻害する作用があり、摂取することで血圧低下に効果が期待できます。
イソロイシンは糖尿病の予防・改善に効果が期待できる
イソロイシンは、血糖値の低下作用によって糖尿病の予防・改善に効果が期待できます。糖尿病は血液中の糖(グルコース)が筋肉や脂肪、肝臓などに取り込まれずに、高血糖状態になる病気です。
イソロイシンには、血液中のグルコースを骨格筋へと取り込みを促進させる効果があると報告されています[3] 血液中のグルコースが骨格筋へと取り込まれることで、血糖値が低下し、糖尿病の予防・改善に効果が期待できるわけです。
また、イソロイシンは肝臓で糖が作られる糖新生を抑制する働きがあるとも報告されています。つまり、イソロイシンは血液中の糖を減少させる作用と新たに糖を作り出す働きを抑制させることにより、血糖値の低下に関与していると考えられます。
イソロイシンの副作用
イソロイシンは食品から摂取する量であれば、特に副作用は報告されていません。ただし、サプリを使用して通常の食品から摂取する場合における科学データは不十分であるため、どのような副作用があるかのかは、わかっていません。
安全にイソロイシンを摂取できる量については、ドイツ連邦リスク評価研究所から1日あたり2.2gと報告されています。[4] イソロイシン2.2gを食材で表すと、卵10個分です。しかし、このガイドライン値は成人を想定しており、小児や妊婦、病気の方には適用されません。サプリなどでイソロイシンを摂取する場合には、医師に相談した方がよいでしょう。
イソロイシンを含む食品
イソロイシンは、次にあげる食品に豊富に含まれています。[5]
- 牛乳
- 卵
- 大豆
- 魚介類(カツオ、サバなど)
基本的には、これらのイソロイシンを含む食品から十分な必要量を摂取することが可能です。より多くのイソロイシンを摂取したい方は、イソロイシンが含まれているBCAAのサプリメントを使用するとよいでしょう。
イソロイシンはBCAAを構成する体に大切な必須アミノ酸
イソロイシンについて紹介しました。
ポイントは以下の5つです。
- 筋肉を回復させる効果があると報告
- 日本人の収縮期血圧を低下させる作用があると報告
- 血液中のグルコースを筋肉への取り込みを促進し、糖尿病の予防・改善に効果が期待できる
- 食品から十分な必要量の摂取が可能
- 過剰摂取による副作用は、現在のところ特に報告なし
イソロイシンはバリンやロイシンなどとともに、BCAAを構成する必須アミノ酸です。普段の食生活から十分な量を摂取可能ですが、サプリメントで補うこともできます。
イソロイシンを摂取するときには、バランスのよい食事を心がけて、必要に応じてサプリメントを使用するとよいでしょう。
イソロイシンは、必須アミノ酸(EAA・BCAA)に含まれる成分です。
他の必須アミノ酸については、以下の記事を参考にしてください。
BCAAとは?ダイエットや筋トレへの効果や、効果的な飲み方を紹介
EAAとは?筋トレやダイエットへの効果や、飲むタイミングなどをまとめて解説
アミノ酸全体についてはこちら
アミノ酸とは?タンパク質との違いや種類・効果を簡単に解説
参考文献
[1]Mohammad Hossein Rahimi,Sakineh Shab-Bidar,Mehdi Mollahosseini,Kurosh Djafarian.Branched-chain amino acid supplementation and exercise-induced muscle damage in exercise recovery: A meta-analysis of randomized clinical trials.Nutrition{2017 Oct;42:30-36}.
[2]Aurelie Chanson-Rolle,François Aubin,Veronique Braesco,Toshimitsu Hamasaki,Masafumi Kitakaze.Influence of the Lactotripeptides Isoleucine-Proline-Proline and Valine-Proline-Proline on Systolic Blood Pressure in Japanese Subjects: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.PLos One{2015 Nov 4;10(11):e0142235}.
[3]吉澤 史昭.イソロイシンの糖代謝調節作用と臨床応用の可能性.生化学 第86巻第3号.2014 Jun;345-351
[4]内閣府 食品安全委員会.食品安全関係情報詳細.ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)、分岐鎖アミノ酸(BCAA)をダイエタリーサプリメントで摂取することに関する意見書を公表
[5]文部科学省 食品成分データベース.食品成分ランキング イソロイシン.
\自己ベスト続出/サブ4以上が72.6%!業界話題のランナー愛用マラソンサプリメントはこちら。