アミノ酸・タンパク質 基礎知識

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不足すると危険?アミノ酸の役割や食品、タンパク質との関係を解説!

2021年9月27日 - 更新日: 2021年10月5日

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西村 殊寛 / YOSHIHIRO NISHIMURA

2008年に神戸大学医学部医学科を卒業。同年、医師免許を取得。2009年より始めたマラソンを医学および統計学より科学的に考察し、独自の理論をもとにSAURUSアドバイザーとして参画。フルマラソンの自己ベストは2時間46分03秒。ハーフ1時間16分50秒。

アミノ酸が重要な栄養素であることをご存知でしょうか?

アミノ酸は、私たちの体において重要な役割を果たしており、不足すると健康上の問題が発生することが知られている栄養素です。アミノ酸を意識的に摂取することで、健康を維持できる可能性もあります。

今回は、アミノ酸の役割や食品、タンパク質との関係を解説します。

アミノ酸とは

皮膚や髪の毛、筋肉、血液など人間の体の多くがタンパク質でできています。タンパク質は人間の体の20%を占めており、タンパク質を構成する有機化合物がアミノ酸です。[1][2] そのため、人間の体はアミノ酸で作られているといえるでしょう。また、アミノ酸はタンパク質だけでなく消化やエネルギー産生に必要な酵素やアドレナリンやセロトニンなどのホルモンの材料でもあり、健康を維持するために必要な栄養素でもあります。[3]

アミノ酸の種類は大きく分けて3つです。必須アミノ酸と非必須アミノ酸、遊離アミノ酸に分類できます。どのアミノ酸も体内で重要な役割を果たしているため、不足しないように食事から摂取するよう心がけましょう。

必須アミノ酸

特に9種類の必須アミノ酸は人間の体内で生成できないアミノ酸であり、食事から摂取する必要があります。食生活によっては不足する可能性があるため、注意が必要です。

①イソロイシン

構造に分岐鎖を持つため分岐鎖アミノ酸とも呼ばれ、バリン、ロイシンと合わせてBCAAと呼ばれています。別名はBCAAです。イソロイシンは、骨格筋へエネルギー源であるグリコーゲンの取り込みを促進させる作用があります。[5]

②ロイシン

分岐鎖アミノ酸であり、幅広い食事に含まれているため不足しにくいアミノ酸です。ロイシンは、骨格筋でのグリコーゲン合成を促進する作用があります。[5]

③バリン

分岐鎖アミノ酸で、他の分岐鎖アミノ酸が不足すると働きが低下します。

④ヒスチジン

子供の間は合成できないため必須アミノ酸に分類されています。大人になると合成できるようになるため不足しにくいアミノ酸です。

⑤リシン

動物性タンパク質に多く含まれ、植物性タンパク質には少ないアミノ酸です。野菜や穀類などの植物を中心として食事をしていると不足する可能性があるので注意が必要です。

⑥メチオニン

不足するとむくみや抜け毛の原因になることがあります。

⑦フェニルアラニン

ドパミンやノルアドレナリンなど神経伝達物質の材料になるため、不足すると情緒が不安定になる可能性があります。

⑧スレオニン

動物性タンパク質に多く含まれ、コラーゲンの構成アミノ酸のひとつでもあります。脂肪肝を予防する効果が期待できます。

⑨トリプトファン

セロトニンの材料です。ビタミンの一種である「ナイアシン」の材料になるため不足するとペラグラと呼ばれるナイアシン欠乏症になることがあるので注意が必要です。[6]

非必須アミノ酸

非必須アミノ酸は、糖質や脂質から体内で合成できるアミノ酸で11種類存在します。[7] 体内で合成ができる非必須アミノ酸ですが、不足すると健康上に問題が起きることもあるので積極的に摂取したい栄養素でもあります。

①チロシン

フェニルアラニンから生成され、アドレナリンやノルアドレナリンへと合成されます。その他にも、メラニンや甲状腺ホルモンの材料にもなります。

②システイン

毛髪や爪に多く含まれ、シミの原因となるメラニンを抑制する効果が期待できます。

③アスパラギン酸

乳酸の分解を促進して疲労を回復する効果が期待できます。

④アスパラギン

最初に発見されたアミノ酸であり、アスパラガスの芽から発見されたことが名前の由来です。

⑤セリン

細胞膜において重要な役割を果たすリン脂質やグリセリン酸の材料になるアミノ酸です。

⑥グルタミン酸

旨味成分であり、海藻やごま、大豆などに多く含まれています。

⑦グルタミン

筋肉のタンパク質の合成に関わるアミノ酸です。

⑧プロリン

肌の弾力を支えるタンパク質の一種であるコラーゲンを構成するアミノ酸です。

⑨グリシン

コラーゲンを構成するアミノ酸のひとつで、眠りを深くすることが期待されているアミノ酸でもあります。

⑩アラニン

エネルギー源としても最も利用されるアミノ酸のひとつです。

⑪アルギニン

血管機能の正常化や免疫力向上などの機能が期待されているアミノ酸です。

遊離アミノ酸

タンパク質を構成するアミノ酸以外にも、体内で健康上の役割を持っているアミノ酸があります。タンパク質に含まれないアミノ酸は、遊離アミノ酸に分類されます。必須アミノ酸や非必須アミノ酸以外にもオルニチンやシトルリン、GABAなど遊離アミノ酸特有のものがあり、健康を維持するためには重要です。[1]

オルニチンやシトルリンは、アンモニアという体内で生成される有害物質を分解する役割があり、肝硬変の治療薬としても利用されています。GABAは脳や脊髄などの中枢神経に多く存在し、不安や興奮を抑える神経伝達物質です。

アミノ酸を含む5つの食品類

タンパク質は3大栄養素のひとつでもあり、人間の体になくてはならないものです。アミノ酸が不足するとタンパク質をうまく合成できません。特に、必須アミノ酸は体内で合成できないため食事から摂取する必要があります。アミノ酸を効率よく摂取するためには、アミノ酸が豊富に含まれている食品を知ることが重要です。

必須アミノ酸のバランスを表す指標として「アミノ酸スコア」というものがあります。9種類ある必須アミノ酸が全て必要量を満たしている場合にはアミノ酸スコアが100となり、数字が高いほどタンパク質として質がよいとされています。[8][9]

肉類

タンパク質やアミノ酸が豊富な食材といえば肉類を思い浮かべる人は多いでしょう。鶏肉や牛肉、豚肉などはアミノ酸スコアが100であるため、食事に肉類を取り入れることで必須アミノ酸を摂ることができます。また、タンパク質の合成に必要なビタミンB群は、肉類や魚介類に多く含まれています。

魚介類

魚介類も肉類同様にアミノ酸スコアが高く、ビタミンB群も豊富に含まれている食品類です。アミノ酸を効率よく摂取したい場合には、積極的に摂ることをおおすすめします。エビやイカ、貝類には、タウリンやオルニチンなどの遊離アミノ酸が多く含まれています。タウリンは肝臓の働きを活性化する機能があり、オルニチンはタンパク質の代謝に関わるため飲酒量の多い人や筋トレをしている人にはおすすめのアミノ酸です。[10]

卵類

卵類のアミノ酸スコアも100であるため、必須アミノ酸が揃っている食材です。その他にも、現代人が不足しがちなビタミンC以外のビタミン類や鉄分、カルシウムなども含まれているため積極的に摂取したい食材でもあります。[10]

乳製品

牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品もアミノ酸スコアが100であり、必須アミノ酸をバランスよく摂取できる食材です。アミノ酸やカルシウムだけではなくビタミンAやビタミンB群、葉酸、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミン類を多く含んでいます。[11]

穀類

穀類は、肉類や魚介類に比べるとアミノ酸の量が少ない傾向です。精白米ではアミノ酸スコアが65、じゃがいもでは68であるため主食に偏った食事をしているとアミノ酸が不足する可能性があります。しかし、アミノ酸を多く含んでいる穀類として大豆があります。畑の肉と呼ばれるほどアミノ酸の量が豊富であり、アミノ酸スコアも100です。そのため、プロテインの材料としても利用されることがあります。[12]

アミノ酸とタンパク質との関係

タンパク質は胃腸で消化されてアミノ酸へと分解され、小腸で吸収されます。吸収されたアミノ酸は体内でさまざまな役割を果たしており、全てのアミノ酸がタンパク質を構成しているわけではありません。遊離アミノ酸として、健康を保つために必要な役割を果たしているものも存在するのです。ここでは、アミノ酸とタンパク質の関係を解説します。

タンパク質は20類のアミノ酸から構成されている

自然界に500種類ほどのアミノ酸が存在するとされていますが、タンパク質を構成するアミノ酸はわずか20種類です。[2]  20類類のアミノ酸が組み合わさることで10万種類も存在するタンパク質が作られ、人間の体を構成します。しかし、タンパク質を構成するアミノ酸以外にも体に必要なアミノ酸も存在するため栄養バランスのよい食事をすることが健康を維持するためには重要です。

アミノ酸が体を作る

20種類のアミノ酸が複雑に組み合わさることで人間の皮膚や髪の毛、筋肉、消化酵素などのさまざまな役割があるタンパク質が作られています。体を構成するタンパク質は常に合成と分解を繰り返しているため毎日アミノ酸を摂取する必要があります。

不足すると健康問題が起きる

アミノ酸は、皮膚や筋肉、髪の毛、爪だけでなく酵素やホルモン、神経伝達物質の材料になります。不足すると筋力の低下や乾燥肌、免疫機能の低下などが生じるため、さまざまな病気になりやすくなるので注意が必要です。

食事のバランスが崩れないように食生活を見直してみるのもいいでしょう。アミノ酸の必要な摂取量は年齢や性別、妊娠の有無、生活習慣病などによって変化するため個人差があります。タンパク質の摂取推奨量は成人男性が1日60g、成人女性が1日50gです。アミノ酸の摂取量が足りないと感じた時には食事を見直してみるといいでしょう。[12]

アミノ酸は大切な栄養素

アミノ酸は、筋肉や皮膚、血液などの材料となるタンパク質を構成したり、消化酵素やホルモンなどの材料にもなるなど、健康を維持するために非常に重要な役割を果たしています。

必須アミノ酸は、体内で合成できないため食事から摂取する必要があり、不足すると健康上に問題が起きる可能性もあるため、積極的に摂りたい栄養素のひとつです。遊離アミノ酸はタンパク質を構成しないアミノ酸ですが、タンパク質の代謝や肝臓の活性化などに必要になります。アミノ酸を効率よく摂取するためには肉類、魚介類、卵、乳製品、大豆などの穀類をバランスよく毎日の食事に取り入れてみましょう。

参考文献

[1]アミノ酸の基礎知識

[2]基礎からわかるアミノ酸

[3]アミノ酸

[​4]必須アミノ酸

[5]代謝調節因子として注目される分岐鎖アミノ酸

[​6]ナイアシン中毒

[​7]非必須アミノ酸

[​8]食品タンパク質の栄養価としての「アミノ酸スコア」

[9]三大栄養素のタンパク質の働きと1日の摂取量

[​10]タウリンとはどのような栄養素ですか。また、体によいとのことですが、働きを教えてください。

[​11]栄養価の高い乳製品

[​12]たんぱく質・アミノ酸の摂取基準

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