トレイルランニング
trail running
【トレイルラン初心者必読】トレイルランニングの魅力、必要装備、リスク、始め方まで、網羅的に徹底解説
2023年6月5日 - 更新日: 2024年6月2日
「トレイルランニング」というスポーツをご存知でしょうか?
今では大会も全国各地で開催されており、数年前に比べると、だいぶ市民権を得てきた感じがありますので、やってみたい、興味がある、という人も多いのではないでしょうか。
本記事では、トレイルランニングを始めるにあたっての基本知識として、以下の内容をお伝えしていきます。
- 「トレイルランニング」とは
- トレイルランニングの「魅力」
- トレイルランニングをする上で「大切にしてほしいこと」
- トレイルランニングに「必要な装備」
- トレイルランニングの「リスク」
- トレイルランニングの「始め方」
これを読めば、トレイルランニングの全体像を把握できます。
全体像がインプットできたら、必要な装備を揃え、少しの勇気をもって、山に出掛けましょう。大自然を走る爽快感があなたを待っています。
「トレイルランニング」とは
まずは、トレイルランニングとは何か?というところから押さえましょう。
「山を走るスポーツでしょ?」というところからもう一歩踏み込んで、トレイルランニングの解像度を少し上げてみましょう。
「不整地」を走るスポーツ
トレイルランニングとは、未舗装の山道(トレイル)や林道などの「不整地」を走るスポーツです。
「不整地」とは、例えば、以下のような路面状況(サーフェス)をいいます。
- ザレ場(砂や小さな岩屑を敷いたような場所)
- ガレ場(岩がゴロゴロと積み重なった場所)
- 木の根っこ
- 草地
- ぬかるみ
- 沢・渓流
- 落ち葉
- 林道 etc
他にもいろいろなサーフェスがありますが、舗装路以外の路面はすべて「不整地」になります。これら不整地に「アップダウン」が加わります。
変化に富んだフィールドやサーフェスを全身を使いながら走っていくのが、トレイルランニングです。
ロードランニングの「1.5倍相当」の負荷
トレイルランニングのフィールドは「山」や「丘」なので、必ずアップダウンがあります。
そのため、負荷はロードランニングの「1.5倍相当」といわれます。つまり、トレイルランニングでの10kmは、ロードランニングでの15kmに相当するということです。
アップダウンがある分、同じ10kmでも「掛かる時間」がトレイルランニングの方が長くなるため、エネルギー消費量や負荷はやはり高くなります。
負荷の高さに加え、使う筋肉や必要な装備などもロードランとは異なってくるため、ロードランニングとトレイルランニングは「別の種目」と考えておくぐらいがちょうどよいでしょう。
自然相手のため「リスク」もある
トレイルランニングのフィールドは自然のため、それ相応の「リスク」があります。
本記事の後半で詳しく解説しますが、天候の変化や野生動物との遭遇などです。
トレイルランニングに挑戦するに当たっては、それらのリスクをミニマイズするために、最低限の「知識」「装備」「スキル」などが必要になります。
ロードランニングのように、シューズだけ用意すればとりあえず走り出せる!というほどには気軽ではない、という点はお伝えしておきます。
トレイルランニングの「魅力」
「トレイルランニングって山を走るんでしょ?そんなのキツくて無理。」というのが、トレランニング未経験者が口を揃えていうセリフです。
確かに山を走るので負荷も高く大変ですが、山を走るからこその「魅力」がたくさんあります。
ここでは、トレイルランニングの魅力を「5つ」の切り口で紹介します。
「非日常感」を味わえる
トレイルランニングは大自然の中を走るので、都会の喧騒とはまったく異なる「非日常感」を存分に味わえます。
山に一歩足を踏み入れた瞬間から、ひんやりとした山の空気感にきっと感動するでしょう。
新鮮な空気はおいしく、肌にあたる風は心地よく、耳に届く森の音は最高の癒しです。視覚、聴覚、嗅覚など五感をフルに使って、全身で山の空気を堪能しながら走っていると、楽しくて止まらなくなります。童心に帰ること間違いなしです。
自然の中を走る「爽快感」や「達成感」は格別
山の中を走り抜ける「爽快感」は一度体験すると病みつきになります。特にくだりはうまく走れると、集中力が高まり、自分がカモシカなど野生動物になったかのように駆け降りることもできます。まさに「爽快」です。
はじめの頃はくだりは怖いと感じてしまうかもしれませんが、経験を積み、スキルを身につけていけば、”楽しいくだり”が待っています。
また、トレイルランニングは負荷が高いのは事実ですが、その分「達成感」も大きいです。アップダウンを乗り越えて、最後人のいる”下界”に下山してきたときの、達成感や安堵感はロードランニングでは味わえない感覚のものです。
変化に富んで、飽きない
トレイルランニングのフィールドは「山」や「丘」です。アップダウンや路面状況(サーフェス)もそうですが、どんどんと見える景色が変わっていきます。
植生(ある場所に生育している植物のまとまり)によって異なる森の雰囲気、ところどころで開ける景色、山頂からの絶景、茶屋や山小屋、古びた石碑や道標など、本当にさまざまな景色に出会えます。
四季によっても山の表情は変化しますので、同じコースでも季節毎に楽しむことができます。
一年中楽しめてしまうのが、トレイルランニングの大きな魅力の一つです。
全身をバランスよく鍛えられる
「不整地を走る」の項でも書きましたが、トレイルランニングはロードランニングと異なり、サーフェス(路面状況)がさまざまです。
細かな起伏、木の根、落ち葉、石、ぬかるみ、倒木など、バリエーションに富みます。そのため、バランス感覚や細かなステップワークが必要となります。
足元と数メートル先のサーフェスを両方認識しながら、瞬時に足の置き場を判断し、体を反応させていきます。多様なサーフェスの変化を軽快なステップでクリアしていくのは、とても快感です。
特にくだりは、全身でバランスを取りながら走る必要があり、足捌きだけではうまく走れません。トレイルランニングに限らず、どのスポーツにおいても重要な「体幹」が重要になります。
トレイルランニングをすることで、この「体感」にも勝手に刺激が入ります。結果的に、全身をバランスよく鍛えられるのです。
速いだけがすべてではない
ロードランニングにも「ファンラン」という言葉が存在しますが、トレイルランニングの楽しみ方は、ロードランニング以上に、人それぞれです。
「速いだけが正義ではない」というトレラン特有の雰囲気があることに加え、「速くなくても、楽しめる要素がたくさんある」ので、誰でも楽しめるスポーツです。
途中、景色や山の植物を撮影したり、心地よい風が吹き抜けるところで大きく深呼吸してみたり、コースの途中にある茶屋に立ち寄ってみたり、それらも含めて、トレイルランニングです。
それと、レースでは別ですが、プライベートであれば、登りもくだりも全部走らなければ!のような気負いはもちろん必要ありません。自分の気持ち良いペースで、歩きも交えながら、「楽しむこと」を大前提に、トレイルランニングや山を満喫しましょう。
トレイルランニングをする上で「大切にしてほしいこと」
トレイルランニングにはたくさんの魅力がある反面、負荷が高かったり、自然相手であるが故のリスクなどもあります。
安全に楽しくトレイルランニングを楽しむために、ここではトレイルランニングを行うにあたって「大切にしてほしいこと」を3つお伝えします。
どれもシンプルで当たり前のことなのですが、「初心」として、常に心に留めておいてください。
適切な装備を整える
1つ目は「適切な装備を整える」です。
ここまで、「地形の変化」には触れてきましたが、トレイルランニングでは「天候の変化」にも対応する必要があります。
山の天気は変わりやすい、というのはよく聞くと思いますが、この「天候変化」に備え、「適切な装備」を整えることが、安全上とても大切です。
具体的には、トレイルランニング用のシューズを履く、レインウェアを必ず常備する、などです。適切な装備で「快適性」と「安全性」を高めましょう。
また、怪我や遭難などの「万が一」に備えた下記のような準備も必須です。
- ファーストエイドキット(応急処置セット)
- 防寒具
- 地図やコンパス
- スマホ&バッテリー等
不測の事態が起きたときに、「一旦自分一人でその状況を凌げるか?」という観点で、最低限の準備をしておくことが非常に大切です。
山のルールを守る
トレイルランニングで使うフィールドは、トレイルランナーだけのものではありません。
ゆったりと山歩きを楽しむハイカーさんを筆頭に、さまざまな目的で山を楽しんでいる方々がいます。
且つ、トレイルは道幅が狭いことに加え、片側が斜面になっていることがほとんどです。配慮に欠けた走りは、自分自身はもちろん、他者に対しても大きな事故に繋がり兼ねないので絶対にやめましょう。
- 日本トレイルランナーズ協会が「安全・マナーガイド」というものを出しています。以下、抜粋になりますので、目を通しておきましょう。
- 自然に敬意を払って行動しましょう。
- 安全第一。計画をしっかり立て、充分な準備を整えてから山に入りましょう。
- トレイルは譲り合いましょう。
- すれ違い・追い越しは、必ず歩いて。
- 集団で走るときは、周りに気を配りましょう。
- トレイルから外れないようにしましょう。
- ゴミは全て持ち帰りましょう。
- 動植物を大切にしましょう。
- トイレは極力所定の場所ですませましょう。使った紙は持ち帰りましょう。
- あいさつをしよう。
トレイルランニング 安全・マナーガイド(出典:日本トレイルランナーズ協会)
どれも当たり前のことですが、この基本を守れないトレイルランナーがけっこういます。ぜひ、自然や他者に配慮ができる素敵なトレイルランナーを目指してください。
「安全意識」を高く持つ
トレイルランニングは自然相手のスポーツのため、「安全意識」を高く持つ必要があります。
事前の全体計画はもちろんのこと、コースの最新情報の確認(トレイルでは崩落のため通行禁止などがよくあります)、当日の天気予報のチェック、家族・知人への事前共有など、リスクヘッジをしっかりしておきましょう。
大事なことは、決して無理をしないこと。
トレイルランニングに限らず、自然相手のアクティビティで過信は禁物です。
悪天候の日は無理に行かずに中止する、途中で悪天候になった場合は勇気をもって撤退するなど、「辞める勇気」「引き返す勇気」なども、トレイルランニングでは必要です。
尚、トレラン初心者は、初めの頃はわからないことも多いと思いますので、やはり経験者と一緒に行くことをおすすめします。
トレイルランニングに必要な「装備」
トレイルランニングでは、トレイルランニング用の各種ギアに加えて、どんな天候であっても必ず持っておくべき「必携装備」というものがあります。
なぜなら、不整地を走ることによる転倒や怪我、最悪の場合は遭難のリスクがあるためです。基本の考え方は、「何が起きても一晩を越せる装備を持つ」こと。これを念頭に置いてください。
まずは、下記の装備を揃えていきましょう。
トレイルランニングシューズ
トレイルランニングシューズは不整地に対応できるような作りになっており、ソールにはラグ(凹凸)があります。
ラグの深さやパターンはさまざまなので、用途に応じて使い分けられるとベストですが、何足も準備できない場合は、まずはラグが深めのものを選びましょう。しっかりと地面を掴んでくれるので、滑りずらくなります。
また、トレイルランニングでは、ガレ場の石や木の根っこなどをつま先で蹴ってしまうことがよくありますので、トー部分(足先部分)が頑丈な作りになっています。
サイズ感はワンサイズ大きめのものを選びましょう。ジャストサイズだと、くだりのときにつま先がシューズに干渉して、確実に爪がやられます。
ランニングウェア(+ベースレイヤー)
ランニングウェアは、ウェアそのものの機能性(吸水速乾素材かどうか等)も大切ですが、それ以上に、肌に直接触れるベースレイヤー(いわゆるインナー)がとても大切になります。
なぜなら、トレイルランニングでは標高の変化により、温度変化も大きくなり、「細かな体温調節」が必要になるためです。(標高が100m上がる毎に0.6℃気温が下がります)
夏はよいとして、その他の季節では、行動中は暖かくても、休憩中はすぐに体が冷えてきて、「汗冷え」をします。
「汗冷え」は体温の低下とともに、著しく体力を奪っていきますので、汗冷え対策としても、ベースレイヤーにはこだわりたいところです。
レインウェア・防寒着(インサレーション)
どんなに天気予報が良くても、「レインウェア」と「防寒着(インサレーション)」は必ず持っていきましょう。ここは、軽視してはいけない「必携品」です。
仮に今後、あなたが何かレースに出ることになった場合でも、レース開催の時期を問わず、これらは「必携品」となりますので、遅かれ早かれ必要になります。
身軽なほうが走りやすいので荷物を減らしたい気持ちはわかりますが、ここは削っては行けません。
多少かさばりますが、今は、レインウェアも防寒着も「薄手で軽量」なものがさまざまなメーカーから出ています。自分の命を守るギアになりますので、ケチらずに用意をしましょう。
トレイルランニング用ザック(バックパック)
トレイルランニングはロードランニングに比べ、動きが複雑になります。
体にフィットしていないと、ランニング中、上下左右に荷物が暴れてストレスなだけでなく、擦れの原因にもなります。
また、トレイルランニングでは、ザックを身につけたまま、ドリンクや行動食の補給を摂る機会が多くなりますので、手の届く範囲に多くの収納がついています。
プライベートであれば、ザックを下ろしてゆっくり休憩、ということでも構いませんが、今後レースにも挑戦するのであれば、トレイルランニングに適した専用のザックを準備しておきましょう。
ドリンクと行動食
「ドリンク」は、専用のフラスクボトルに入れるか、もしくはペットボトルでも代用可能です。
ペットボトルの場合は、PETの素材が柔らかいものだと、胸部への”アタリ”が柔らかくなることに加え、フラスクボトル同様に、空になったあとは小さく潰せるので、そのような意味でも使い勝手が良いです。(一度潰しても、再度空気を吹き込めば、また水を入れられます。)
また、「行動食」は必ず必要量を持ちましょう。
行動食には、ジェルや固形物(菓子パンやおにぎり等)などいろいろありますが、高カロリーでエネルギーになるものを選びましょう。
携帯電話・モバイルバッテリー
現在はスマートフォンのアプリで、山の中にいても「現在地」と「自分が向いている方向」がわかるものが多くあります。
ロスト(道迷い)のリスクを大幅に軽減できますので、スマートフォンアプリは是非ダウンロードしておくことをおすすめします。
また、不慮の事態が発生した際の連絡手段として、当然「携帯電話」は必須です。
ナビアプリを使ったり写真を撮ったりと、スマホの使用頻度も高くなると思いますので、「モバイルバッテリー」も必ずセットで持ちましょう。ケーブルもお忘れなく。
尚、寒い環境だとバッテリーの消耗が早くなります。冬場にトレイルランニングをする際は、そのようなことも念頭におき、「携帯のバッテリーを切らさない」ための準備をしてください。
紙の地図とコンパス(携帯故障時・紛失時のバックアップ)
モバイルバッテリーまで準備したとしても、まだ安心してはいけません。携帯にしろモバイルバッテリーにしろ、「故障」や「紛失」というリスクがあります。
念には念を押して、”山と高原地図”などのアナログの「山地図」と「コンパス」まで持っておけば、ひとまずの準備としては完璧です。
コンパスを持つ場合は、当然コンパスの使い方も覚えなければいけませんが、ご興味のある方は、「地図読み」や「読図」などで調べてみてください。山の楽しみ方が広がりますよ。
ファーストエイドキット
ファーストエイドキットとは、「応急処置セット」のことです。
- 基本の中身は、以下のようなものになります。
- 絆創膏・包帯・ガーゼなど傷口を処理するためのもの
- 常備薬(痛み止めや下痢止め、胃腸薬など)
- ダクトテープ(防水・強靭なテープ/シューズやザックなどギアの補修に使える)
- 医療用手袋やマウスピース(他人が怪我をしたときに助けるためのもの)
- ライター(緊急事、「火」は重要なアイテムになります)
これらに加えて、個々人で必要なものをポーチにまとめて、必ず持ち歩きましょう。
ヘッドライトと予備電池
ナイトトレイルをする場合は当然必要になりますが、日中だけのスケジュールであっても、ヘッドライト(もしくはハンドライト)は必携装備です。
山では予想以上に暗くなるのが早いです。秋冬だと、16時ぐらいには足元の視認性が著しく低下してきます。
山での暗闇は「本物の暗闇」ですので、完全に日が落ちた山では、ライトがないと「一寸先も見えない」状態になります。
ヘッドライトの明るさのことを「ルーメン」といいますが、「600ルーメン以上」あると視認性もかなりよくなり安心です。(200〜300ルーメンだと、”山の夜”には正直不十分です)
ヘッドライト用の予備電池も忘れずに準備しましょう。
トレイルランニングの「リスク」
「非日常を味わえる」という山の魅力は、裏返すと「対自然である」ということです。つまり、「リスク(自然の脅威)と表裏一体」だということ。
山や森というフィールドにおける「リスク」を、ここでは5つお伝えします。
どのようなリスクがあるかを知っていれば、対策(マインド面、ギア面、両面に対して)が立てられます。ひとつずつしっかりと認識してください。
天候の変化
ここまででも何度か触れていますが、山の天候は変わりやすいです。
さっきまで雲ひとつなく晴れていたと思ったら、急激に雲が湧いてきて突然の豪雨…なんてこともあります。雨だけでなく、濃霧や強風など、さまざまなシチュエーションがあるでしょう。
コンディションが雨になれば、当然足元はぬかるんで滑りやすくなりますし、濃霧であれば視界が悪くなり、足元の段差や山の斜面が見えなくなったりします。
トレイルランニングでは、そのような「状況の悪化」に備えることが大切です。自分の身は自分で守る、そのための準備を怠らない、ということを肝に銘じておきましょう。
怪我(転倒・滑落)
トレイルランニングでは、木の根やガレ場(ゴツゴツした岩の路面)、渡渉(小川を渡る)、急斜面など、ロードランニングに比べ、怪我(転倒、裂傷、打撲、捻挫など)に繋がる要素がたくさんあります。
また、足元だけではなく、頭上にも注意が必要です。足元ばかり見ていると、トレイルにはみ出している木の幹や枝などに頭を強打します。
山で走ることに慣れてくると、徐々に怪我(特に捻挫)の頻度も減ってきますが、トレイルランニングを始めて間もない頃は、少なからず怪我の経験をすると思います。
せっかく大自然を走るのに、リスクを恐れて萎縮してしまうのももったいないですが、慎重に、焦らずに、無理せずに、という「ブレーキ」も自分の中で持っておきましょう。
ロスト(道迷い)、遭難
ルートによっては、山深く、人里離れたエリアに入ることもあるでしょう。
ぜひ覚えておいていただきたいことは、「低山や里山でこそ、遭難が多い」ということです。
トレイルランニングで楽しむ主な山は、3000mを越すような高山ではなく、1000m未満の低山や里山が多いと思います。
高山は余程マイナーな山でない限り、ルートが限られていますが、低山や里山は、生活エリアであることも多く、メインのトレイルではない”作業道”などの分岐が多いのです。
そのため、ロスト(道迷い)もしやすいです。
ロスト(道迷い)にすぐ気付ければ、事なきを得た、で終わりますが、深みにハマると「遭難」します。
自分がどこにいるのかわからなくなる、というのは本当に怖いものですが、このような緊急事態に対してどれだけ備えができているか、が生死の分かれ目です。
あえて「生死」という強い言葉を選びましたが、それだけ道迷いや遭難への備えはしっかりとやってほしいという意味を込めています。
「低山や里山だから安心」では決してありませんので、侮らないようにしましょう。
野生動物との遭遇
山にはクマ、ヘビ、ヒル、シカ、イノシシなどの野生動物が生息しています。
人間に慣れいるシカなどは、突如目の前に現れてきても、特に危害は与えてこないでしょう。
ただし、クマに関してはやはり要注意です。山で遭遇したくない野生動物の筆頭候補ですが、最近ではクマが頻繁に人里に降りてきているニュースもよく見るようになりました。きっと飢えているのだと思います。
特に子連れの母グマは血気盛んです。遭遇してしまったら、目を合わせずにそろりそろりと後退し、クマとの距離を広げましょう。決して、威嚇したり、背中を見せて走り出したりしないようにしてください。どんなにダッシュしても人間はクマには勝てません。
クマに限らず、野生動物に実際に遭遇した際に、何事もなくその場をやり過ごせる確率を上げるために、適切な対処方法を事前に確認しておくことが大切です。
脱水症状やハンガーノック
山での行動中に、自分のエネルギーに変えられるものは、基本、事前に自分で準備したドリンクや行動食しかありません。
ですので、トレイルランニングにおいては、行動予定時間から逆算した必要十分なドリンクと行動食を装備することが、大前提になります。
サバイバルスキルを上げれば、山の恵みを自ら現地調達できるかもしれませんが、危険なので安易に手を出さないほうが無難でしょう。
また、補給でよくありがちなのは、楽しくて、もしくは目まぐるしく変わる状況に忙しくて、補給を忘れてしまうことです。気付いた時には、脱水症状やハンガーノック(エネルギー切れ)の状態に陥っていることがあります。
目安として、ドリンクは「ゴクゴクと2口飲む程度をこまめ」に、行動食は「最低でも1時間に1回」は補給しましょう。
トレイルランニングの「始め方」
トレイルランニングは自然と一体化し、新たな冒険や挑戦、刺激を求めるランナーにはもってこいのスポーツです。
ただ、まったく山に触れたことがない人にとっては、どうやって始めたらいいのかわからない、という人も多いかと思います。
ここでは、トレイルランニングの始め方を3つのステップで紹介します。
【ステップ1】必要な用具を揃える
トレイルランニングをするには、最低限必要な装備があります。
トレイルランニング用のシューズやザック、自分の身を守るためのギア、安全性を高めるためのギア、緊急時のギアなど、です。
多少の初期投資が必要になりますが、安全に楽しくトレイルランニングを楽しむために、まずはこれらをしっかり揃えましょう。
ちなみに、トレイルランニング用のギアは、シューズ、ザック、ウェアなど、いずれもロードランニング用と比べると、オシャレなものや個性的なものが多い印象です。ぜひ用具を揃えるところから楽しんでみてください。
【ステップ2】山に行ってみる/山に慣れる
これまでの人生で山に触れたことがない人にとって、山とは「身近にない遠い存在」かと思いますが、実は、意外と近くにあります。
都心に住んでいたとしても、1〜2時間も電車に揺られれば、トレイルランニングができる山がたくさん見つかります。
まずは、いきなりトレイルランニングではなく、山歩きからでもいいでしょう。山がどんな場所かを知ってください。魅力もリスクも両方に気づけるはずです。
実際にトレランデビューをする際は、経験者に同行してもらいアテンドしてもらったり、周りにそういう知人がいない場合は練習会に参加するなどして、山に行く機会をどんどん作り、増やしていきましょう。
「山って意外と近くにあるのね」「確かにリスクもあるけど、そんなに恐れることはないね」ということを認識できれば、山へのハードルは一気に低くなります。
【ステップ3】ショートレースから大会に参加してみる
ある程度山に慣れてきたら、いよいよ次はレースにチャレンジしてみましょう。
現在では、全国各地でさまざまなトレイルランニングレースが一年を通して開催されています。
距離別にざっくりレースを分類すると下記になります(※大会のコンセプトにより定義はさまざまです)
- ショートレース(10〜30km)
- ミドルレース(30〜50km)
- ロングレース(50〜100km)
- ウルトラディスタンスレース(100km以上)
トレラン初心者はもちろんショートレースからのチャレンジになると思いますが、10kmのレースであっても十分にトレイルランニングの世界(魅力や醍醐味)を味わえますので、初めは欲張らずに、10〜15km程度のショートレースから始めましょう。
トレランが好きになり、山が好きになり、何度も山にいっていると、いつの間にか体力もついて走れる距離も長くなってきます。そうしたらこちらのものです。
力試しに、ミドルレース、ロングレースと一段ずつ距離を伸ばして、ステップアップを目指してください。
さぁ、山へ走りに行こう!
トレイルランニングは、魅力の多い素晴らしいスポーツです。
楽しみ方は人それぞれなので、山を走ることで全身をバランスよく鍛えながらガッツリパフォーマンスアップを狙うもよし、山を楽しむことを基本スタンスとして、ゆったり適度に走って(登りは歩いて)、下山後の温泉を最大の目的にするもよし、です。
トレイルランニングを始めた人で、やっぱりつまらなかったと言って、やめてしまう人をあまり見たことがありません。
トレイルランニングは、生涯楽しめるアクティビティとして、きっとあなたの人生を豊かなものにしてくれます。
最低限の装備の準備と、どのようなリスクがあるかの認識をしておけば、必要以上に恐れることはありません。自然の中を駆け抜ける悦びを是非体感してみてください。
この記事が、あなたのトレイルランニング挑戦のきっかけとなれば嬉しいです。
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