EAA(必須アミノ酸)
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必須アミノ酸「スレオニン」とは?
2021年9月26日 - 更新日: 2023年2月12日
スレオニンは、体内で合成できない必須アミノ酸の一種です。必須アミノ酸の中では、最も近年に発見されました。脂質代謝やタンパク質合成、腸の機能に関与すると報告されています。
今回は、スレオニンの成分や効果、多く含む食品などについて紹介します。
スレオニンとは
スレオニンは、タンパク質を構成するアミノ酸のうち、人体で作ることができない必須アミノ酸のひとつです。英語ではThreonineと表記することから、読みの違いでトレオニンといわれることもあります。9種類ある必須アミノ酸の中では、歴史的に最も新しく発見された必須アミノ酸で、発見されたのは1935年です。
スレオニンは、卵や肉類などの動物性タンパク質に豊富に含まれています。一方で、穀物や野菜にはあまり含まれていないため、動物性タンパク質をあまり取らない偏った食生活の方は不足しやすい成分です。[1] スレオニンは、肝臓の脂質代謝や筋肉のタンパク質合成、腸の健康を維持するといった研究結果が報告されています。
スレオニンの効果
スレオニンを摂取することで、どのような効果があるのでしょうか。ここでは、スレオニンの効果を確認していきましょう。
肝臓の脂質代謝を促進する効果が期待できる
スレオニンには、肝臓の脂質代謝を促進する効果が報告されています。[2] 肝臓はエネルギーを脂肪として蓄えている臓器です。脂肪は最適な量であれば、体を動かすエネルギーとして活用できます。しかし、食べ過ぎや運動不足で過剰に脂肪が蓄積してしまえば、脂肪肝や肝硬変になってしまいます。
スレオニンを摂取することで、肝臓の脂質代謝を促進すると報告されています。脂肪肝や肝硬変の予防につながると考えられるでしょう。また、スレオニンが欠乏すると、肝臓に中性脂肪の蓄積を誘発する可能性が報告されています。
肝臓の脂質代謝において、スレオニンは重要な働きをしているといえるでしょう。
スレオニンはタンパク質合成に効果が期待できる
スレオニンには、タンパク質合成を高め、粘膜や筋肉の成長を促すと報告されています。[2]特に、スレオニンが多く含まれているムチンという粘膜を構成する糖タンパク質の合成に、欠かせません。ムチンの合成はスレオニンの濃度に敏感に反応しており、過剰だったり、不足したりすると、ムチンの産生が減少するとされています。
ムチンは粘膜に含まれており、胃や腸を保護する働きがあると報告されている成分です。また、スレオニンは、筋肉や他の組織のタンパク質合成を高める効果が期待できます。
スレオニンは腸の健康を維持する働きが期待できる
スレオニンは、腸の健康を維持する働きがあると報告されています。[2] 腸の表面には粘膜があり、腸のバリア機能として、有害な菌や物質から体を守っているのです。スレオニンは、粘膜を構成するムチンの合成に欠かせない成分であるため、最適なスレオニンの摂取は、腸の健康を維持するうえで重要な働きを持ちます。
また、スレオニンには腸に取り込まれた食物の栄養素の消化・吸収を助ける働きも報告されています。腸には絨毛(じゅうもう)といわれる柔らかい突起が密接して生えており、栄養素の吸収に関与しています。スレオニンが過不足の状態になると、絨毛の面積が減少し、萎縮してしまうのです。よって、消化・吸収効率が低下します。
スレオニンは免疫機能の維持に効果が期待できる
スレオニンは、腸管免疫機能の維持に必須の成分であると報告されています。[2] 免疫機能とは、細菌やウイルスなどから自分の体を守る仕組み。腸には免疫細胞が集まっており、腸管免疫といわれています。
スレオニンは、免疫細胞として働くリンパ球の増殖と抗体を分泌する際のサポートとして使用されることが証明されており、腸管免疫の維持に欠かせません。さらに、スレオニンは免疫組織のひとつであるIgAの重要な要素であり、IgAの産生に影響を与えると報告されています。
スレオニンの副作用
スレオニンは通常の食事から摂取する量であれば、過剰摂取は生じにくいとされています。体への悪影響はほとんどないと考えられていますが、過剰摂取により以下の症状が報告されており、注意が必要です。[1]
- 頭痛
- 下痢
- 便秘
- 皮疹
など摂取量の目安としては複数の研究から、1日あたり2〜4gを12ヶ月間使用しても安全に摂取できたと報告されています。
一方で、スレオニンは動物性タンパク質には豊富に含まれていますが、穀物や野菜には乏しいため、偏った食生活で欠乏しやすいです。スレオニンが不足すると、肝臓の脂質代謝やタンパク質合成、免疫機能に影響が生じる可能性があります。
国際連合食料農業期間/世界保健機関/国際連合大学による1日あたりの推奨摂取量は、体重1kgあたり15mgです。[3] つまり、体重50kgの方であれば、1日あたり0.75gが推奨される量となります。0.75gのスレオニンは卵2個程度であるため、バランスの良い食生活を心がければ、不足する心配はありません。
スレオニンを含む食品
スレオニンは、次にあげる食品に多く含まれています。[4]
- 卵
- 牛乳
- 魚介類(ニシン、とびうお、カツオ)
- 肉類
スレオニンは、穀物に偏った食生活でなければ、食事の中から十分な必要量を摂取可能です。より多くのスレオニンを摂取したいと考えている場合には、サプリメントを使用するとよいでしょう。しかし、過剰摂取による体への影響が報告されているので、使用する際には使用量に十分に注意してください。
スレオニンは健康に欠かせない必須アミノ酸
スレオニンについて紹介しました。ポイントは以下の5つです。
- 脂質代謝を促進する効果が期待できる
- タンパク質合成に効果が期待できる
- 腸の健康維持に効果が期待できる
- 免疫機能の維持に効果が期待できる
- 穀物に偏った食生活で不足しやすい必須アミノ酸
スレオニンは最後に発見された必須アミノ酸であり、体の健康に重要な働きがあります。偏った食生活で不足しやすい成分であるため、バランスの良い食生活や必要に応じてサプリメントを使用しましょう。
また、スレオニンは、必須アミノ酸(EAA)に含まれる成分です。
他の必須アミノ酸については、以下の記事を参考にしてください。
EAAとは?筋トレやダイエットへの効果や、飲むタイミングなどをまとめて解説
アミノ酸全体についてはこちら
アミノ酸とは?タンパク質との違いや種類・効果を簡単に解説
参考文献
[1]国立健康・栄養研究所「健康食品」の素材情報データベース
[2]Physiological Functions of Threonine in Animals: Beyond Nutrition Metabolism.Nutrients
[3]WHO/FAO/UNU Expert Consultation.PROTEIN AND AMINO ACID REQUIREMENTS IN HUMAN NUTRITION.p150
[4]文部科学省 食品成分データベース.食品成分ランキング トレオニン.
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