ランニング・マラソン
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長距離走と呼吸のコツ| 走っても疲れにくい呼吸法を解説
2023年5月20日 - 更新日: 2023年5月25日
長距離走はしんどい。その原因を考えると「呼吸」に行きつきます。
どうしてランニングでは呼吸が乱れてしんどくなるのか、それを解消する方法はあるのか。
これからマラソンを始める人も、もっと上達したい人も、呼吸について知ればきっとこれからの走りが変わります。
長距離で息切れしてしまう3つの理由
長距離走を行う上で、しんどさを感じる一番の原因は呼吸の乱れです。
以下ではその原因について説明しています。
「デッドポイント」で酸素不足に陥る
「デッドポイント」とは、呼吸器や循環器が運動開始時についていけず、一時的に体内の酸素が不足してしまう状態です。
長距離走などの有酸素運動では「運動の開始時が一番キツイ」という感覚を覚えることが多いですが、これはデットポイントが起こるからです。
特に運動に慣れていない人は、デットポイントで「自分には体力がない」と、ランニングに苦手意識を持ってしまうことが多くあります。デットポイントは誰でも起こり得るものであることを覚えておきましょう。
呼吸筋の筋力不足
横隔膜などのインナーマッスルは、「呼吸筋」と呼ばれ、酸素を効率的に取り込む力に関係しています。
呼吸筋が不足していると呼吸が浅くなり、酸素を効率的に取り込むことができず、息切れや呼吸困難につながります。
しかし、呼吸筋の多くは、日常生活ではなかなか鍛えることができないものです。
そのため、運動習慣がついていないうちは、息切れが起こりがちになります。
運動負荷が高すぎる
長距離走に限らず、運動負荷が高いことで息切れが起こりやすくなります。
運動負荷が高い状態が続くと、筋肉や循環系、呼吸系への負荷が増加し、酸素需要が増えます。
その時、呼吸が追いつかず、うまく酸素が供給されないことが、結果的に息切れという症状として現われるのです。
適切なトレーニングやペースコントロールを行うことで、負荷を調整し、息切れを軽減することも重要です。
息切れが起こる場合は、まず自身の運動の負荷が適切かどうか確認してみてください。
長距離走中の呼吸と心拍数の管理方法
呼吸と同じくらい大事にしたいのは心拍数です。呼吸と心拍数の測定、管理方法をお伝えします。
呼吸と心拍数の関係
運動を開始すると、筋肉の活動に伴って酸素消費量が増加し、代謝産物である二酸化炭素が蓄積します。
体内に蓄積された二酸化炭素を除去するために、心臓はより多くの血液を送り出す必要があります。
そうして心拍数が上昇するに伴い、供給する酸素量も増やすために、呼吸を活発に行う必要が生まれます。
このように、長距離走を行うと、心拍数が上がるにしたがって呼吸も活発になります。
ランニング中に呼吸と心拍数を測定する方法
呼吸と心拍数を測定することで、ランニング中のパフォーマンス管理に役立たせることができます。
呼吸数は、運動中の一定の時間で自分の呼吸回数を数えることで測ることができますが、ステップのリズムに左右されることもあり、あまり適切である方法とは言えません。
着目すべきは長距離走では心拍数です。近年ではスマートウォッチなどのデバイスが普及しており、心拍数を測ることが容易となっています。
ランニング中の呼吸と心拍数を整えるために
呼吸と心拍数が整うことで、効率的なランニングができるようになります。
まずは、心拍数をコントロールするために、トレーニングゾーンを設定しましょう。心拍数の目標範囲を知ることで、適切なペースで走ることができます。有酸素運動の場合、一般的な目標心拍数は最大心拍数の40〜60%が目安と言われています。
最大心拍数については“208-0.7×年齢”で求めることができるとされています。
もちろん個人差はあるものですが、運動強度の大体の目安が分かればよいので、こちらを参考に計算してみましょう。
ランニング効率をアップさせる呼吸法
呼吸が楽になれば、その分ランニングも楽になります。
ランニング効率をアップさせるどんな呼吸法についてお伝えします。
ランニングでの呼吸の基本的な考え方
全ての活動において、呼吸は全身の筋肉に酸素を行き渡らせるための行動です。特にランニングでは、十分な呼吸ができているかどうかがパフォーマンスや快適さに大きな影響を与えます。基本的に深く自然な呼吸を心掛けることが重要です。さらに自身の運動ペースや体調に合わせて呼吸の深さを意識して調整し、酸素の取り込みと二酸化炭素の排出をより効率的に行えるようにします。
鼻呼吸と口呼吸
人は鼻呼吸と口呼吸の二つを使い分けています。ランニング時にはどちらの方法が適しているかは個人により異なりますが、一般的には「鼻から吸って口から吐く」方法が多く取られています。ぜひ鼻から息を吸うことを心掛けましょう。
これは日常生活でも同じですが、鼻で息を吸うと、
- 鼻の中を通るときに空気が温められる
- 適度に湿った空気を体内に取り入れることができる
- 鼻腔内がごみやほこりをブロックするフィルターとして働き、綺麗な酸素を取り入れることができる
といったメリットがあるためです。
一定のリズムで呼吸をするメリット
ランニング効率を向上させる上では一定のリズムで呼吸をすることが重要です。一番意識しやすいリズムは、自身のステップです。ランニング初心者はステップに合わせ、息を吸ったり吐いたりする癖を身に付けましょう。身体の動きと合わない呼吸では、リズムが乱れ、逆に身体に負荷がかかってしまいます。ステップに合わせた呼吸法が身に付くと、呼吸がランキングペースに合うようになり、身体への酸素供給を安定させることができます。
ステップの数に合わせた呼吸を意識する
呼吸のリズムが整ったら、ステップに合わせ、呼吸の回数を決めるとよいでしょう。
例えば、2:2のリズム、3:3のリズム、時には1:1のリズムを用いることがあります。
2:2とは、2歩で息を吸い込み、2歩で吐き出す(吐く息を2回に分ける)。
同様に3:3では、3歩で吸い込み、3歩で吐く、1:1では1歩ごとに吸う吐くを交代させます。
どれが合うかについては個人差が大きいので、何度かそれぞれの呼吸法を試してみて、一番自分に合うリズムを見つけましょう。大事なのは自然体で深く呼吸を行うことができているかどうかです。
長距離走における呼吸のコツ
呼吸にはコツがあり、それを知るか知らないかでランニングの取り組みやすさが大きく変わります。以下のコツを全て意識して行えたら、ランニング初心者卒業と言えます。
まずはウォーミングアップ
長距離走に取り組む前に、適切なウォーミングアップを行いましょう。軽いジョギングやストレッチなどで体をほぐし、呼吸を整える準備をすることが重要です。特に呼吸に関わる筋肉群は、通常あまり意識して使われることはありません。少し呼吸が荒くなる程度に体を動かすことで、これらの筋肉に刺激がいき、長距離走に取り組みやすい身体が準備されることになります。
深い呼吸を心がけよう
呼吸は通常意識して行うものではありません。しかし、ランニング中は意識的に呼吸を深くすることが大切です。
よく話題になるのが胸式呼吸と腹式呼吸という2つの呼吸法です。腹式呼吸の方が、息をたっぷりと吸えるため、ランニングに適しているという話もありますが、実は両者の違いを意識することはランニングを行う上ではあまり意味がないと思われます。どちらも空気は肺に送られ、その時に胸郭が上がるか(胸式呼吸)、胸郭が動かないか(腹式呼吸)が違うだけなのです。
「どちらの呼吸法か?」という考え方ではなく、「呼吸を意識して深く行うこと」、これをとにかく心がけましょう。その方がよっぽど自然な呼吸法につながります。
誰でも始めは苦しい、ことを知っているかどうか
ランニングの始めには「デッドポイント」が誰にでもあります。しかし、人の体は不思議なもので、始めは息苦しく感じている運動も、徐々に身体が慣れてくるものなのです。「デッドポイント」はあくまでも一時的な状態であり、ここを抜けさえすれば途端に身体が軽くなる感覚が生じ、呼吸が安定するようになります。「デッドポイント」がいつ始まり、いつまで続くのかは個人差がありますが、誰もが通る道だと知っているだけでも精神的な負担は軽くなるでしょう。
鼻から吸って口から吐くことによるリズムづくり
ステップに合わせ、息を鼻から吸いましょう。また、鼻炎等で鼻が詰まっている人でも、身体が酸素を求める状態になるため、運動中だけ鼻通りがよくなることがあるようです。
息を吐くときは、口から吐きましょう。息を吸う、吐く、という行動内で使う身体の部位が異なるためリズムが生まれやすくなり、安定的な呼吸につながります。
呼吸が安定する裏ワザ
お腹のおへそ辺りを太めの紐で1周縛ってみてください。あまりきつくなりすぎず、それでも腹筋に圧がかかる程度には縛りましょう。加圧シャツや、腹筋バンドを巻いてもよいでしょう。
これはランニング初心者に特に効果が期待できる方法です。呼吸を支える横隔膜の働きを、外部から補助することで、呼吸を安定させようとするものです。
ゆくゆくはこの辺りの筋肉も鍛えられてくるので、効果は薄れてきますが、ランニング初心者こそぜひ試してみてください。呼吸が楽になるはずです。
呼吸を楽にするためのトレーニング
呼吸を楽にするためには、トレーニングを重ねて呼吸器系を鍛えるのが一番です。目的に合ったトレーニング方法を取り入れましょう。
ゆっくりとしたペースでの長距離走(LSD)
LSDとは「ゆっくり」「長く」「長距離」を踏む練習のことを指します。ゆっくりとしたペースでの継続的なトレーニングが呼吸を改善する上で効果的です。長い距離を走ることにより、心拍数と呼吸が安定し、持久力の向上が見込めると同時に、ふくらはぎの筋肉をはじめ身体の血流に大きく影響する筋肉群も鍛えることができます。
LSDに関してはこちらの記事を参考にしてください。
LSDを意識したマラソントレーニング – SAURUS (saurusjapan.com)
インターバルトレーニング
インターバルトレーニングは、高強度の運動とリカバリーを交互に行うトレーニング方法です。
特に心肺機能や呼吸筋の強化を促します。
インターバルトレーニングは基本的に高負荷トレーニングとして位置付けられています。そのためランニング初心者はインターバルを行う前に、それに耐えうる身体づくりを目指すことが先決です。
しかし、練習にインターバルトレーニングを取り入れることができれば、練習の質が上がり、ランニング中の呼吸が飛躍的に楽になります。
筋力トレーニング
呼吸を楽にするためには、呼吸に関わる筋肉の強化も重要です。
呼吸筋群である横隔膜(腹横筋)や外肋間筋のトレーニングが効果的です。特にインナーマッスルである腹横筋を鍛えると、呼吸が楽になるだけでなく、ランニング時の姿勢保持も楽になります。
コアトレーニング、呼吸法に合わせたヨガなどを取り入れて、呼吸筋の力をアップさせましょう。
もちろん、通常の筋力トレーニングよりは少し強度が高いものになります。また効果が出るまでには時間がかかりますので地道に取り組みましょう。
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