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【ロードバイクと補給(補給食)】必要な栄養素、補給食の種類、タイミングやコツ、収納方法までまるっとお伝え

2023年5月5日 - 更新日: 2023年6月25日

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小倉 健児 / KENJI OGURA

20代後半にトレイルランニングに出会ってから山の魅力に没頭。その後、ショートレースからウルトラディスタンスまで、さまざまなレースに参戦。2023年UTMF(Ultra Trail Mt. FUJI)にて100マイルを33時間半で完走(上位15%)。他、KGR(Kyoto Great Round)145km、上州武尊山スカイビュートレイル130km、分水嶺トレイル120km(テント泊装備も担ぐ山岳レース)など、完走実績多数。ロードランでは、2023年大阪マラソンにてサブ3達成(2時間56分)。トライアスロンにも挑戦中(2022年九十九里トライアスロン/オリンピックディスタンス完走)。ロードバイクは富士ヒルクライムブロンズ獲得(1時間23分58秒)。本業の傍ら、複業として、(社)Regional Sports理事、ブログ「山猿日誌」運営、フリーランスライターを務める。

ロードバイクに乗っていて、後半、エネルギー切れを起こした経験はありませんか?

ロードバイクは途中途中で”足休め”ができる分、一見ラクな感じもしますが、予想以上にエネルギーを消費します。

本記事では、「ロードバイク×補給(補給食)」というテーマで、特にロングライド時の観点を織り込みながら、以下をお伝えしていきます。

ロングライドを最後まで楽しむためには、「補給」を計画的・戦略的に行い、「エネルギー切れを起こさないこと」が大切です。

しっかりポイントを押さえていきましょう。

ロードバイクでの補給の必要性

ロングライドにおいては、単純に運動時間が長くなることもあり、「補給(補給食)」は欠かせません。

グルメライドと称して、ゆっくりどこかに立ち寄っての「食事」もいいのですが、ロングライドの場合、行程的に先を急がなければいけない場合もあるでしょう。

そのような場合は、動きながら補給する「補給食」を活用しましょう。

補給を怠ると「ハンガーノック」という、いわゆる「エネルギー切れ」になります。極度の空腹状態により、目眩や立ちくらみ、手足の痺れなどを引き起こし、最悪の場合は意識を失うこともある危険な状態です。

ハンガーノックを防ぐためには、早め早めの補給を心がけましょう。

 

補給で摂りたい栄養素は「糖質」と「アミノ酸」

補給で摂りたい栄養素は、以下の2つです。

他にも、足攣り防止用の「マグネシウム」や、当然「水分」の補給なども必須なのですが、まずは「糖質」と「アミノ酸」の補給を軸に考えましょう。

それぞれの特徴を説明します。

 

糖質

運動時、体内でエネルギー源として使われているのが「糖質」です。

摂取してから最も早くエネルギーに変わる「即効性」のある栄養素で、素早くエネルギーになってくれるため、エネルギー補給の大黒柱です。

特に、脳は糖質のみをエネルギー源としているため、頭がぼーっとして集中力が欠けてきたときは、おそらく糖質不足の状態です。集中力を欠いた状態でのライドは危険なので、まずはすぐに糖質の補給をしましょう。

 

アミノ酸

主に、疲労回復目的で摂取するのが「アミノ酸」です。

体内には20種類のアミノ酸が存在しますが、特定のアミノ酸には「筋疲労を軽減させる」効果があり、運動時に効果的に摂取すれば、筋疲労の軽減、且つ、筋肉の修復を促す効果が期待できます。

20種類のアミノ酸は、体の中で合成できる「非必須アミノ酸」と、体の中で合成できない「必須アミノ酸」の2種類があります。

サプリメントでよく聞く「BCAA」は、人間の体が作り出すことができない「必須アミノ酸」になりますが、BCAAは吸収が早いため、運動中に摂取することで下記効果などが期待できます。

※BCAAについてより深く知りたい方はこちら(サウルスBCAA特集ページ)をご覧ください。

補給食の種類

補給食には主に、「ジェルタイプ」と「固形タイプ」の2種類がありますが、それぞれ一長一短あります。

特徴をまとめると、下記のようになります。

エネルギー吸収までの時間 重量 携帯性 持続性
ジェルタイプ ○(即効性がある) ◯(固形に比べて軽い) ◯(少量でハイカロリー) ×(腹持ちが悪い)
固形タイプ △(エネルギーになるまでに時間がかかる) ◯(ものによって重い) ×(かさばるものが多い) ◯(腹持ちが良い)

「疲れてくるとジェルタイプは胃が受け付けない」や「固形タイプは好きだけど、やっぱり(重量が)重い」など、好みも分かれてくるところです。

ここでは、それぞれの特徴を理解し、且つ、自分の好みや相性(ジェルが合うのか、固形物が合うのか等)も考慮し、最適な選択をするための情報を提供します。

 

ジェルタイプ

ジェルタイプと固形タイプのもっとも大きな違いは、「エネルギー吸収までの時間が異なること」です。

ジェルは、体内に吸収されやすいように、すでにある程度分解された状態になっているため、固形物に比べて「即効性」があります。

実感値として、補給後5分もすれば「効いてきたかも」と感じられるでしょう(※個人差あり)。

 

ジェルタイプは軽量で携帯性に優れる

ジェルタイプは固形物に比べると、少量で高カロリーを補給できます。

本記事の後半で「補給食の収納」についてもご紹介しますが、長時間に渡る運動において、「軽量であること」は疲労度にも直結してくるためとても重要です。

「少量=軽量」ということなので、「携帯性」にも優れるジェルは、ロングライドにおいても重宝します。

 

ジェルタイプを摂取するタイミング

結論から申し上げますと、特に指定のタイミングはありません。

「ジェルは後半に摂取するのが良い」ということをよく聞きますが、これにも囚われる必要はありません。

これの意図するところは、「ライド後半は内臓疲労によって消化機能が落ちてくるため、消化のしやすいジェルのほうが良い」というものなので理にかなった考え方ですが、前半からジェルを摂取してもまったく問題ありません。

大切なことは、「とにかくエネルギーを枯渇させないこと」であり、ジェルが先か、固形物が先か、という順序はあまり関係ありません。

ただ、「ジェルは甘ったるい(ものが多い)」ため、長時間に渡ってジェルの補給のみだと、人によっては、「気持ち悪くなる」「飽きてくる」といったネガティブな要素が働いてしまう可能性はあります。

自分との相性を踏まえて、前半は固形物、後半にジェルなど、うまくジェルと固形物を組み合わせてみてください。

 

固形タイプ

固形タイプの特徴は、「腹持ちが良いこと」です。

ジェルタイプに比べて、即効性には劣りますが、「エネルギーが持続(空腹感がない状態が長持ち)」します。

消化までに時間は掛かりますが、お腹の中にしばらくのあいだ補給したものが残り、少しずつエネルギーに変わっていく(消化されていく)ので「腹持ちがいい」わけです。

 

固形タイプは種類が豊富

固形タイプの嬉しい点としては、「種類が豊富」なことも挙げられます。

グミやラムネなどのスナック菓子、バータイプの栄養補給食、饅頭や団子などの和菓子、(少し嵩張りますが)おにぎりや菓子パン等々、いろいろあります。

補給の最大の目的は「エネルギーを補充する」ことではありますが、無味乾燥では気分も上がらないので、精神的な満足度(おいしさ等)も求めたいですよね。自分が好きなものを補給して、その点もぜひ満たしてあげましょう。

 

ロングライドではしっかりと朝食を摂る

おすすめの固形タイプの補給方法は「ライド前の朝食でしっかりと固形食を食べておくこと」です。

身も蓋もない話ですが、ロングライドをする日は朝食をしっかりと食べましょう。

朝食でおにぎりやパンなどの固形物をしっかりお腹に入れておけば、序盤はしばらく補給なしでライドできるでしょう。その分、荷物も軽量化できます。

固形物は前述のラインナップの通り、「大きい」「(ジェルに比べて)重い」、もしくは「その両方(大きくて重い)」であることがほとんどなので、ライド前に固形物を補給しておくというのは、いろいろな意味でメリットがあります。

 

補給食を摂るタイミングと気をつけたいこと

ロングライドでの補給のタイミングを考える上で押さえておきたいことは、以下の点です。

上記前提の上で、あとは各個人の嗜好や相性に合わせて、ジェルタイプを摂るのか、固形タイプを摂るのか、それぞれをどのタイミングでどれだけ摂るべきか、などを考えることが大切です。

以下、具体的に3つのポイントをご紹介します。

 

小腹が空いたら必ず摂る

補給食は、消化・吸収にかかるので、「小腹が空いたら摂る」ことを心がけましょう。

例えば、お腹が鳴るほど空腹になってから摂取しても、(口の中では味が広がり脳は刺激されますが)実際に体を動かすエネルギーに変わってくるまでには、タイムラグが生じます。

お腹が空いてもロードバイクは回し続けなければ前に進めなくなるので、「効いてくるまで」がしんどくなります。

まったくお腹が空いていない状態で摂る必要はありませんが、小腹が空いたら”必ず”補給しましょう。

 

ドカ食いは避ける

空腹がいきすぎると、お腹が空いているあまり反動で「ドカ食い」をしてしまう可能性がありますが、これは危険です。

これは典型的な「補給失敗パターン」です。失敗の理由は以下2つ。

失敗2つ目に関わるワードとして、「インスリンショック」という言葉をご紹介しておきます。

「インスリンショック」とは、急激な糖質補給による血糖値の急上昇の反動で、逆に、その後すぐに血糖値が急激に低下する状態、を指します。

「ドカ食い」はこれを引き起こす可能性があります。

血糖値の低下は、体のだるさやパフォーマンスの低下に直結しますので、気をつけたい点です。

最近では、急激な血糖値の上昇を抑えるといった謳い文句で「パラチノース配合」という補給食も見かけるようになりました。気になる方は調べてみてください。

 

満腹を避ける

ドカ食いにも関連する事柄かもしれませんが、「満腹」になり過ぎるのも考えものです。

特に、どこか飲食店に立ち寄っての「食事」で補給する場合、「満腹」になりやすいので注意しましょう。(それもロングライドの楽しみの一つなのである程度は仕方ないのですが…)

ロードバイクでは前傾ポジションを取るので、あまりにも満腹に食べ過ぎてしまうと、補給直後は前傾姿勢が苦しく、場合によっては、気持ち悪くなる可能性があります。

ロードバイクの場合だと振動はないので、ランニング時のように腹痛のリスクはそれほどありませんが、ロングライド時の補給は「少量をこまめに」が基本です。

観光グルメライドと割り切ったポタリングであれば、食事も含めて堪能したほうが良いと思いますが、ある程度の強度を保ったロングライドであれば、ガッツリとお腹を満たすお楽しみ補給は、ライド終了後まで取っておきましょう。

 

補給食の収納

ロングライドにおける収納のポイントは、「重いものはできるだけ体に身につけないこと」です。

ロングライドでは、補給食以外にも輪行バックや防寒着、スマホ関係など持ち物が多くありますが、エアロ(空力)を意識すると「いかに車体も自分もスマートにするか」という点が大事な観点になります。

バックパックを背負うという手もありますが、ロードバイク歴が長い人ほどバックパックを背負っている人はあまり見かけません。もちろん使ってはいけないということではありませんが、「見た目のスマートさ」を意識する人も多いようです。

ここでは上記背景も踏まえ、バックパック以外の収納方法を2つご紹介します。

 

サイクルジャージの腰ポケット

補給食を収納する筆頭候補は、サイクルジャージの腰ポケットです。

腰ポケットは、走りながら容易に取り出せるのが最大のメリット。ただし、腰ポケットに大量に収納しすぎると、当然サイクルジャージが後方下側に引っ張られますので、着用感は少々不快になります。

そのため、腰ポケットに収納するものとしては、以下の特徴に該当するものが候補になってきます。

つまり、ジェルタイプやバータイプなどの補給食を入れるのが相性が良いわけです。

それ以外のものは、このあとにご紹介する車体に装着するバックでの収納を活用しましょう。

 

トップチューブバック

ロードバイクのフレームには、下記のような収納用のバックを取り付けることができます

「補給食の収納」という観点でいうと、3つ目の「トップチューブバッグ」がおすすめです。

「スマホ」などの頻繁に使うものや、「補給食」などの使用したいときにすぐに取り出したいものは、降車せずに取り出せるトップチューブバッグが理にかなっており、便利です。

フレームバッグも乗りながら開閉できるような設計(サイドポケットなどのサブ収納)がされているものもありますが、基本はフレーム上辺の「下側」に装着するものなので、補給食の収納という観点での利便性でいうと、トップチューブバッグには劣ります。

サドルバッグは、ライド時には使用しない「輪行袋」や「チェーンロック」、「パンク修理キット」などを収納するのが良いでしょう。

 

まとめ

今回は「ロングライド×補給(補給食)」という切り口から、以下についてご紹介してきました。

ロングライドにしろ、ランニングにしろ、長時間の運動において「補給」が大切なのはいうまでもありません。

しかし、「運動時(ロードバイク)の補給」には、単に「お腹を満たす」ということ以上に考えるべき要素が多くあります。

何を、どう補給するのか。そして、それをどう持つのか。

この記事を読んでいただいている方には、プライベートでのロングライド以外に、ロードバイクのレースに挑戦する人もいることでしょう。

「補給を制する者はレースを制する」といっても過言ではありません。

是非この記事を参考に、補給に関する知識を深め、楽しく充実したライド生活を送っていきましょう。

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