アミノ酸・タンパク質 基礎知識
amino acid
アミノ酸の疲労回復効果や、肌や髪などのカラダに嬉しい効果まとめ
2021年9月28日 - 更新日: 2023年2月12日
皆さんは、アミノ酸を積極的に摂取しているでしょうか?
アミノ酸を摂り過ぎると太ってしまったり、筋肉が大きくなったりして体型が崩れるという悪いイメージを持っている方は注意が必要です。アミノ酸にはさまざまな健康効果があり、アミノ酸が不足すると健康上に問題が生じることがあります。よって、積極的に摂取したい栄養素です。今回は、アミノ酸の健康効果を解説します。
アミノ酸は筋肉のトレーニングに効果がある
人間の体の20%はタンパク質で構成されています。[1] また、タンパク質は20種類のアミノ酸が組み合わせで作られているのです。人間の体では、多くのタンパク質が使われているため、アミノ酸は重要な栄養素。ここでは、筋肉に対するアミノ酸の効果を解説します。
筋肉や血液の材料になる
アミノ酸は、タンパク質の構成成分であり、筋肉や血液の材料です。筋トレをすることで筋肉は大きくなり、筋力が強くなります。[1] 筋肉を作るためにアミノ酸が必要であるため、アミノ酸が不足すると筋肉を十分に大きくできないので注意が必要です。
また、筋肉に効率よくアミノ酸を運ぶために血液も重要な役割を果たします。血液の材料もアミノ酸です。栄養や酸素の運搬だけでなく、白血球などの免疫細胞による病原体の排除という役割もあります。そのため、アミノ酸の不足によって病気になりやすくなる可能性もあるので注意が必要です。
運動してアミノ酸を摂取すると筋力アップする
筋トレなどの激しい運動をすると、骨格筋のタンパク質合成が促進され筋肉量と筋力を増大させることが知られています。また、筋トレをした後にアミノ酸を摂取すると、骨格筋のタンパク質合成が通常より増加し、タンパク質分解も抑えられたという研究もあります。[2] スポーツでのパフォーマンスを向上させたいと考えた場合には筋トレやスポーツ後にはアミノ酸を摂取するといいでしょう。
ケガの防止・リハビリに効果が期待
筋肉を維持することでケガの防止、リハビリ効果にも期待ができます。年齢を重ねると筋力が低下し、膝などの関節を支える筋肉がおとろえ、痛みが起こる可能性があるので注意が必要です。[3] 関節周りの筋肉が弱くなると関節内に存在する軟骨が擦り減って関節痛の原因にもなることも。多発性硬化症や関節リウマチなどの関節に炎症が伴う疾患では、運動療法は有効な治療法であり、リハビリをおこなうことで体機能の維持に効果が期待できます。[4] 筋力の維持にはアミノ酸が必要であるため、リハビリをしている高齢者にも重要な栄養素です。
アミノ酸は疲労回復効果に期待できる
アミノ酸は、エネルギー代謝に関わるものも存在します。また、疲労回復に効果が期待されるものもあります。疲れがたまっていると感じている方は、アミノ酸の摂取を試してみましょう。
エネルギー代謝に関与している
タンパク質や脂質、糖質は3大栄養素のひとつであり、エネルギー源としても利用されます。体を動かすエネルギー源としては糖質や脂質の割合が多いですが、1日に消費されるエネルギー量の3〜18%はアミノ酸から生み出されています。[5]
L-カルニチンというアミノ酸は、脂肪酸をミトコンドリアに運ぶことで脂肪燃焼を手助けする作用があります。L-カルニチンは、リジンやメチオニンを原料として、肝臓で合成される遊離アミノ酸です。[6] 脂肪酸の運搬作用はL-カルニチン独自の機能であり、他の栄養素にはありません。
筋疲労を回復する
運動後の筋肉疲労を効率よく回復させることで、トレーニングの効率向上に期待できます。そのため、スポーツをする人にとっては、筋肉疲労の回復効果が期待できるアミノ酸の摂取は重要です。アミノ酸サプリを摂ったグループとプラセボを摂ったグループを分けて筋肉の損傷と筋肉痛の影響を調べた研究では、アミノ酸を摂ったグループではプラセボグループに比べて筋肉痛や筋肉の損傷の度合いが低下したと報告されています。[2]
アミノ酸は睡眠の質を上げる
睡眠のリズムを作っているホルモンとしてメラトニンが存在します。[7] メラトニンは、トリプトファンから作られます。また、グリシンというアミノ酸は、神経伝達物質として作用して睡眠の質を向上させる効果が報告されているため、よく眠りたい場合にはアミノ酸を摂取してみるのもいいでしょう。
肌が気になる人はアミノ酸がおすすめ
アミノ酸は、肌への効果が期待されています。肌の材料としてタンパク質が使われ、アミノ酸が不足すると、肌の状態が悪くなる可能性があるので注意が必要です。この章では、アミノ酸の肌への効果を解説します。
肌の弾力にはコラーゲンが必要
コラーゲンは、人の体に存在するタンパク質の約30%を占め、皮膚や腱、軟骨などを構成する繊維状のタンパク質です。[8] 皮膚を支えている組織としてコラーゲンは主要な構成成分であり、ハリのある肌を維持するためにコラーゲンが重要な役割を果たします。
コラーゲンの材料はアミノ酸
コラーゲンは、グリシンやプロリンなどのアミノ酸によって構成されています。[8] タンパク質であるコラーゲンは、消化されることでアミノ酸に分解され、吸収されます。そのため、コラーゲンを摂取しても肌に効果がないと思われていましたが、肌の材料自体がアミノ酸なので、アミノ酸は肌の健康に効果的です。
近年の研究では、コラーゲンペプチドを継続的に摂取することで肌の水分量が増加し、蒸発量が減ったことが報告されています。[8] 肌のハリが気になってきた場合にはコラーゲンや材料であるアミノ酸を摂取してみるといいでしょう。
しかしコラーゲンの摂取をする場合の注意点があります。コラーゲンには必須アミノ酸であるトリプトファンが含まれていません。アミノ酸の補充を考えた場合には、コラーゲンの摂取は効率が悪いと考えられます。
アミノ酸は肌の修復効果が期待できる
肌荒れの原因として、ストレスは大きな要因です。[7] グルタミンというアミノ酸は、筋肉に貯蔵されているアミノ酸の40%を占め、精神的ストレスや運動時に利用されます。慢性的なストレスが続くとグルタミンなどのアミノ酸が不足するリスクが高くなり、肌の再生がうまくできなくなる可能性があるので注意が必要です。ストレスによる肌荒れの場合にはストレス対策が一番の対処法ですが、不足したアミノ酸を補うことで肌の修復効果にも期待できます。
肌の健康を保つためにアミノ酸が重要
肌の保湿や弾力を維持するためにコラーゲンは重要な役割を果たします。しかし、コラーゲンだけでなく皮膚もアミノ酸で作られているのです。そのため、ダイエットによって間違った食事制限をすると肌荒れが起きたり、乾燥肌が進行したりすることがあるのでアミノ酸が不足しないように注意する必要があります。肌の健康を保つためには、野菜をタンパク質の合成に必要なビタミンやミネラルとともにアミノ酸を補充することが重要です。野菜や肉類、魚介類などをバランスよく摂取しましょう。
アミノ酸で免疫機能への効果アップ
人間の体に細菌やウイルスなどの病原体が毎日侵入するため、健康を維持するために病原体を撃退する免疫系の働きが重要です。免疫機能を維持するために、アミノ酸が重要な役割を果たします。
免疫細胞が増えるにはアミノ酸が必要
血液中には、酸素や栄養を運搬する赤血球や血しょう以外にも白血球が存在します。[9] 白血球は免疫機能の中心的な存在であり、アミノ酸から合成されているためアミノ酸が不足することで白血球の材料が不足。免疫機能が低下する可能性があるので注意が必要です。
また、アルギニンというアミノ酸は、成長ホルモンの分泌を促進する効果が報告されています。[7] 成長ホルモンは、子供の成長に関わるだけでなく、寝ている間に体を修復する効果があるため、成長ホルモンの分泌の低下は免疫機能の低下にもつながる可能性も。
免疫細胞の活性化にはアミノ酸が重要
グルタミンやアルギニンは、免疫の活性化に深く関与しているといわれます。強いストレスが継続すると筋肉からのグルタミンが多く消費されることも。[7] 慢性的なストレスは、グルタミン酸不足の大きなリスクです。
アルギニンは、成長ホルモンやプロラクチン、インスリンなどさまざまなホルモンの分泌を促進します。[10] 血流改善にも効果があり、免疫けの活性化にも効果があるとされています。アミノ酸が不足することで免疫機能が低下し、風邪をひきやすくなったり、ケガによる感染症のリスクが高くなったりすることがあるので注意が必要です。
不足すると神経伝達物質にも影響が出る
セロトニンやドーパミン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質は、トリプトファンやチロシンというアミノ酸から合成されます。[11] セロトニンは不安を抑える効果があり、ドパミンは快楽ホルモンとも呼ばれることも。[12] やる気などにも関係し、不足すると攻撃性の上昇やうつやパニック障害、統合失調症などの原因になることがあります。精神面でもアミノ酸は重要な役割を果たしているといえるので、メンタル的に問題を感じる場合には食生活を見直してみるのもいいでしょう。
健康効果を維持するためにはアミノ酸がおすすめ
人間の体の20%を構成しているタンパク質は、常に分解と構成を繰り返しているため、毎日アミノ酸を摂取する必要があります。アミノ酸は、筋肉や皮膚、爪、髪の毛だけでなく免疫細胞やホルモンの材料にもなるため、健康を維持するためには必要です。アミノ酸が不足すると肉体的にも精神的にも影響が出ることがあるため、意識的に摂取してみてください。
アミノ酸を意識して摂ってみよう
タンパク質を構成するアミノ酸は20種類存在し、基本的には人間の体内で合成できない9種類の必須アミノ酸と人間の体で合成できる11種類の非必須アミノ酸があります。
必須アミノ酸は体内で合成できないため食事から摂取する必要がありますが、体内で合成できる非必須アミノ酸もさまざまな役割があるため積極的に摂取したい栄養素です。
ご飯やパン、麺類などの主食中心の偏った食生活をしていると、アミノ酸が不足することがあるので注意が必要です。アミノ酸を効率よく摂取するためにはアミノ酸が豊富に含まれている食材を中心に食事に取り入れるといいでしょう。
アミノ酸をしっかりと生活に取り入れて、健康的な毎日を過ごしましょう。
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