筋トレや運動で筋力を高めることや筋肉量を増やしたいという場合には、体内でたんぱく質を合成する必要があります。

たんぱく質は20種類のアミノ酸から構成されるため、アミノ酸をバランス良く摂取することが大切です。

20種類のアミノ酸の1種である「グリシン」は、サプリメントなどの医薬品だけはなく化粧品や食品添加物としても使用される成分です。

ここでは、グリシンの効果や副作用、グリシンが含まれる食品について解説していきます。

グリシンとは

グリシンはたんぱく質を構成する20種類のアミノ酸の1種で、分子量が最も小さく単純な構造をしているという特徴があります。

食品だけではなく体内で合成される「非必須アミノ酸」に該当し、体内ではセリンなどから生合成されます。

グリシンはコラーゲンを構成する主要アミノ酸で、コラーゲンの3分の1がグリシンで構成されています。

そのため、骨や関節、肌などの健康を維持するために欠かすことのできない成分であると言えます。

また、グリシンには運動のパフォーマンスを高めるサポートをする役割や、睡眠の質を高める効果などが期待されます。

グリシンの効果

グリシンは、運動のパフォーマンスを高める効果のあるクレアチンの原料になります。

クレアチンによって運動のパフォーマンスが向上することは実験でも明らかになっており、持久力を高められると考えられます。

クレアチンは体内ではグリシンとアルギニン、メチオニンから合成されるため、グリシンの摂取によりクレアチンの生成が促進されることが期待できます。

また、グリシンには睡眠の質を改善する効果があると言われています。

睡眠には体内の内側の体温が関係しており、睡眠する時には体の表面の温度が上昇することで内側の温度が低下します。

グリシンを摂取すれば血管が拡張することで表面血流量が上昇し、体の内側の温度が低下することが実験で分かっています。

そして、睡眠障害を持つ男女がグリシンを摂取した結果、睡眠の安定や睡眠効率が改善されました。

こうした実験結果からもグリシンには睡眠の質を改善する効果があることが分かります。

グリシンを摂取することで睡眠の質が高まれば、筋トレや運動で疲労した体の回復にも繋がるでしょう。

グリシンの副作用

グリシンは日常の食生活で過剰摂取するようなことはないと考えられますが、厚生労働省の食品安全委員会によると過剰摂取をしても副作用が起こるリスクはほとんどないとされています。

しかし、ラットを用いた実験では過剰摂取によりクレアチニン尿症や白血球減少症が起こっています。

人体に同様の副作用が起こるとは言い切れませんが、極度の過剰摂取は控えるべきでしょう。

反対に、グリシンが低下すればコラーゲン減少により肌が老化してしまうことや、骨や関節、靭帯などの組織の耐久性が低下してしまう恐れがあります。

運動や筋トレをするにあたって骨などの組織の耐久性の低下はケガのリスクが高まることになります。

そのため、グリシンは不足することなく摂取すべき成分であると言えます。

グリシンが含まれる食品

グリシンは動物性たんぱく質に多く含まれており、その中でもとくに腱コラーゲンである牛スジや豚足などの食材に多く含まれています。

また、グリシンはイカやエビ、カニなどの旨味成分として加工して使用されていることから、魚介類にも豊富に含まれていることが分かります。

グリシンは日常の食生活で摂取することができる成分ですが、毎日充分な量を摂取することは簡単ではありません。

その他の栄養素とのバランスを考えながら食事をする必要があるため、グリシンをしっかり摂取するにはサプリメントが手軽だと考えられます。

参考文献

厚生労働省「対象外物質評価書　グリシン」

JST「睡眠改善食品」

JST「コラーゲンの構造と性質」

JST「直接的にパフォーマンスを向上させるサプリメントの科学的根拠」直接的にパフォーマンスを向上させるサプリメントの科学的根拠

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